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こちらの記事では、離婚に伴う不動産の名義変更を行う場合について、どのタイミングで手続きを行うのか、という点について紹介しています。また、名義変更を行うための流れや必要書類、費用もまとめました。
家の名義変更は離婚後に行なう
離婚に伴う家の名義変更は、離婚後に手続きを行います。
なぜ離婚後かというと、不動産の名義変更を行うには法律で決められた「原因」で登記する必要があるためです。離婚を機に名義変更を行う場合には、財産分与が「原因」となりますが、財産分与が効力を発揮するには下記の要件が必要となります。
- 離婚届を提出済であること
- 財産分与の協議が成立済であること
以上の理由から、財産分与を原因として不動産の名義変更をする場合、離婚後に手続きを行う必要があるということになります。
名義変更の準備は離婚前にしておく
財産分与の協議で両者が納得していることが必要
上記で述べたように、財産分与が効力を発揮するには、財産分与の協議において双方が納得していることが必要となります。そのため、お互いが納得できたら「名義変更を行う」という点について明確にした離婚協議書を作成しておきます。実際に変更する登記申請を行う場合に、この合意書が必要となりますので、忘れずに作成してください。
離婚後に名義変更するメリット
離婚後であれば、離婚届の提出や離婚に関するさまざまな協議などが完了してから名義変更の手続きを行えるため、落ち着いて手続きができます。また、離婚の手続きが終了してからじっくりと話し合うことができますので、納得した上で名義変更を進められます。急いで手続きを行わなければならないわけではないことから、精神的な負担を緩和できるといった面もあります。また、公正証書を作成した後の手続きであればスムーズに進められます。
離婚後に名義変更するデメリット
離婚後に名義変更を行う場合には、贈与税のリスクに注意が必要となります。基本的に離婚における財産分与には税金が課せられませんが、財産分与の額が多すぎると判断された場合には、贈与税が課せられることがあります。例えば夫婦の財産として3,000万円の夫名義の家しかなかった場合、財産分与として妻が家の名義全てを受け取った場合には贈与税が課せられる可能性があります。
また、離婚に伴って相手との関係が悪化した場合、名義変更の手続きをスムーズに進められなくなるリスクがあります。
離婚前にも名義変更は可能
離婚前でも変更のための名義手続き自体は可能です。どのようなメリット・デメリットがあるのかなどを知っておきましょう。
名義変更には相手の協力が必要となる
家の名義変更を行うには、相手の実印や印鑑証明が必要となるために、協力を得られない場合には手続きが進められません。もし相手からの協力を得るのが難しいようであれば、裁判所に対して財産分与に関する調停を申し立てます。
ただし、離婚から2年が経過すると申立てそのものができなくなってしまうため、事前に準備しておくことが大切です。
特にトラブルが発生せず、財産分与についてお互いが納得できスムーズに話が進むのであれば、名義変更のみで済みます。しかし、離婚時には不動産の財産分与に関するトラブルが多く発生します。その中には、一人では解決が難しいほどのトラブルに発展するケースも。その時の状況によって、選択肢や相談先が変わってきますので、本サイトのトップページに掲載されているセルフチェックシートを活用し、どのようなところに相談すれば良いのかを確認してみてください。
離婚前に名義変更するメリット
例えば「財産分与による名義変更」を行いたい場合は離婚後にしか行うことができません。そのため、財産分与として名義変更を行いたい場合には、離婚前に当事者間で家の名義変更について話し合いを行って合意を形成した上で離婚届を提出し、その後に速やかに財産分与の処理を行うことが理想的な流れであるといえます。この流れで進めることで、「離婚後に相手と連絡が取れなくなり手続きに協力してもらえない」といったトラブルを防げます。
また離婚前に名義変更を済ませておきたい場合には、贈与や売買による手続きを踏むことになります。
離婚前に名義変更するデメリット
上記でご紹介した通り、離婚前に名義変更まで完了しておきたい場合には、贈与や売買といった手続きになり、財産分与とは税金上の取り扱いが変わってくる点に注意が必要となります。また、しっかりと相手方との協議や合意が行われていない状態で名義変更を行うと、トラブルになる可能性もあります。
離婚で家の名義変更が必要な理由
離婚後も元配偶者名義の家に住み続ける場合には、さまざまなリスクが考えられます。例えば、不動産登記場の名義人が元配偶者のみになっている場合には、自分が知らない間に第三者に家を売却されてしまう可能性があります。
また、夫婦で共有名義となっているケースでは、自分の一存で家全体の売却が行えないという状況になります。ただし、自分の持分のみであれば、相手の同意なしでの売却が可能です。そのため、共有名義をそのままにしておくと、自分の知らないところで元配偶者が自分の持分を売却することにより、知らないうちに知らない人との共有持分となっている可能性も考えられます。
このように、離婚後に家の名義変更を行わないと多方面でのリスクが考えられるため、手続きを行っておくことが大切といえます。
状況別!名義変更のベストなタイミング
円満離婚が出来そうなケース
円満に離婚手続きができそうなケースでは、離婚届を提出した後できるだけ早く名義変更を行うことがおすすめです。特に、公正証書や離婚協議書などを作成しており、その中で家の名義に関する取り決めを行っている場合には、期間をできるだけ置かず、その内容に記載された内容に基づいてすぐに名義変更の手続きを行うことが推奨されます。
住宅ローンが残っているケース
現在住んでいる家のローンを返済中というケースの場合は、家の名義だけではなくローンの問題も絡んできます。そのためまずは金融機関に相談し、どのように対応していくのかを決めることが必要となります。この事前交渉が済んでから手続きを進めていくことになります。
これは、住宅ローンの名義変更は基本的に認められないためです。さらに、住宅ローンの名義と家の名義が一致していない場合には、金融機関との間で契約違反となり一括返済を請求されるリスクがあります。以上の点から、このケースについてはまずは金融機関との相談を行い、慎重に進めていくことが大切です。
相手が非協力的なケース
ケースによっては、相手が話し合いや手続きに非協力的であることも考えられます。話し合いに応じてくれないからと名義をそのままにしておくと、将来的なリスクが大きくなってしまうため、対策が必要です。この場合には弁護士に相談し、離婚協議と同時に名義に関する話し合いも進めます。さらに、調停調書を作成し、それを持って名義変更を行うという流れが考えられます。
不動産あんしん相談室
神田 加奈氏
不動産の名義変更に関するトラブルにも対応
離婚に伴う不動産の名義変更を行うケースにおいては、「離婚後」に登記手続きを行う必要があります円満離婚で名義を変更するだけで済む、という場合には不動産安心相談室に相談することがおすすめです。もしトラブルに発展してしまった場合でも、離婚と不動産問題に詳しい全国の弁護士を検索できますので、ぜひ相談してみてください。LINEでも無料相談を受け付けていますので、気軽に相談をしてみてください。
離婚と不動産の名義変更の基礎知識
ここでは、離婚時における不動産の名義変更について解説します。また、下記のページでもポイントを紹介していますので、こちらも参考にしてください。
流れ
名義変更の流れは下記の通りです。手続きにはさまざまな書類や手続きが必要となりますので、間違いなく手続きを行いたい・できる限り早く手続きを終わらせたいといった場合には専門家に相談・依頼することがおすすめです。
- 離婚届の提出
- 必要書類を用意する
- 登記申請書を作成する
- 不動産の所在地を管轄する法務局に登記申請を行う
必要書類
名義変更を行う際には下記の書類を用意します。さまざまな書類が必要となるため、早めに動くようにすることが大切です。
- 登記事項証明書
- 登記申請書
- 不動産の権利証
- 登記原因証明情報
- 固定資産評価証明書または課税明細
- 離婚日の記載がある戸籍謄本
- 不動産を譲る側の印鑑証明書・実印
- 不動産をもらう側の住民票・認め印
費用
- 戸籍謄本、固定資産評価証明書など:1通数百円で合計数千円
- 司法書士費用:相場は5万円~10万円前後
- 登録免許税:土地価格の2%
