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離婚したら夫婦に同居義務はなくなる
婚姻中は夫婦には同居義務があり、互いに扶養義務があります。しかし夫婦が離婚した場合には他人に戻ることになるため、同居義務もなくなります。また生活費の分担をする必要もなくなります。このように、夫婦が離婚すると他人になりますので、一緒に暮らしていく必要はありません。
離婚して夫に家から出ていってもらう方法
財産分与が済んでおり、家が自分のものとなっているのであれば相手に家から出て行ってもらえます。ただし、財産分与が済んでいないのであれば、まずは財産分与の話し合いを進め、家を自分の名義とすることから始める必要があります。
話し合い
離婚した後も相手が家から出て行かない場合には、まずは話し合いを行いましょう。この時、穏便に話し合いを進めることがポイントです。「相手にはこの家に住む権利がない」「ずっと住み続けるようなら法的な手続きを取らざるを得ない」という点を話し、相手が自分の意思で出ていってもらえるように説得します。
相手がもし立ち退きを了承した場合でも、ずるずると引き延ばされないように立ち退きの期限を決めることも重要なポイントです。
内容証明郵便を送付する
話し合おうとしても相手が話し合いに応じてくれない、話し合いはできるものの、のらりくらりとかわされてしまうこともあるでしょう。そのような場合には話し合いは諦め、内容証明郵便を送付しましょう。
その内容には「相手がこの家に住む権利がないこと」「この状態が続く場合には強硬な手段を取らざるを得ないこと」「早めに明け渡すこと」といった点を記載します。
内容証明郵便を使用する場合には、相手に受け取らせることもポイントです。また、この時弁護士に内容証明郵便の送付を依頼することもできます。差出人が弁護士だった場合、相手は心理的なプレッシャーを感じるため、「家を出て行かなければ」という気持ちになる可能性もあります。
離婚後紛争調整調停を利用する
内容証明郵便を送っても相手が出て行かないケースにおいては、裁判所での手続きを利用します。その場合には、元夫婦間で起こった離婚後の問題を調整する「離婚後紛争調整調停」を利用することになります。この調停を申し立てることによって、相手に退去を求められます。
調停では、調停委員が元夫婦の間に立って話を進めていく形になりますので、2人で話をするよりも冷静に話し合うことができるでしょう。
建物明け渡し請求訴訟をする
離婚後紛争調整調停を行ったとしても、相手が出ていくことを了承しない場合には強制的に立ち退かせるために「建物明け渡し請求訴訟」を行います。この訴訟は、権利を持っていない人が自分の所有物件を占有しているケースにおいて強制的に明け渡しをさせるためのものです。
訴訟手続きは自分1人で行うことは難しいといえます。そのため、早めに弁護士に依頼するようにしましょう。
不動産あんしん相談室
神田 加奈氏
一方的な追い出しはNG!
不利にならないよう冷静に対処を
離婚が成立した場合、家を出ていくのは夫でも妻でも構いません。しかし、どちらが出ていくべきかが決まっていないと、争いの元になりやすいです。片方が自ら家を出ること(家出)と、相手を無理に追い出すこと(追い出し)では、法律上の扱いが異なります。特に、相手を追い出すことは「悪意の遺棄」と見なされる可能性があり、不利な立場になることも。こうした争いを避けるためには、弁護士に相談して対処法を確認することが大切です。
不動産あんしん相談室では、離婚問題に詳しい弁護士を紹介してくれるため、円滑に解決できる可能性が高まります。問題を抱えている方は、まず一度相談してみましょう。
妻が家に残る際に気を付けたいリスク
追い出し方次第で”悪意の遺棄”と見なされ不利に
基本的に、借金は名義人本人、借りた本人が返済するものです。債権者は名義人を信用しお金を貸しているため、離婚することを理由に配偶者に借金を肩代わりしてもらうようなことはできません。婚姻中の借金は離婚した後も名義人本人が返済すべきものであり、財産分与をした場合でも配偶者に名義変更してもらうようなことはできないのです。
悪意の遺棄とは、夫婦の義務である同居・協力、扶助を一方的に破棄し、共同生活を破壊する行為のことをいいます。無視やいやがらせといった手段で夫を追い出してしまった場合、悪意の遺棄と認められ慰謝料の請求をされる可能性もあります。
夫に無断で家を売却される可能性がある
もしその家が夫名義であり、妻がそのまま残って住み続ける場合には、「夫に勝手に家を売却される可能性がある」という点が大きなリスクとして考えられます。もし、夫が家から出ることになった場合には、自分自身の支出が増えるだけではなく、婚姻費用などの支払いも発生します。このような状況の中ではローンの支払いができなくなってしまう可能性もゼロではありません。このように、ローンを支払えないとなった場合には、家を売却する選択肢を選ぶ可能性もあるといえるでしょう。
ここで問題となってくるのが、名義が夫単独であるという点。名義人はその家に誰が住んでいようと断りなしに売却を行うことができます。そのため、妻にも断りなく家の売却ができてしまうのです。
将来夫がローンの支払いを滞る可能性がある
家のローンがまだ残っている場合にも注意が必要です。
夫が住宅ローンを引き続き返してくれれば全く問題はありませんが、もし滞納を続けてしまうと家を差し押さえられ、競売にかけられる可能性があります。その場合には強制退去となってしまい、住む場所を失ってしまうという状況も考えられます。
そのようなケースを回避するには、夫から妻に家の名義変更をする必要があります。信用情報に支払い延滞などの金融事故情報が残っている場合や、すでに他社からの借入れがあるなど、そもそも銀行のローン審査が通らない状況を除けば、ここ最近の住宅ローンでは、契約社員や派遣社員、パートやアルバイトの方でも審査が通るものもありますので、不動産の専門家に相談してみましょう。