離婚に伴う財産分与について

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婚姻時代に夫婦で築いた財産は共有財産として取り扱われますので、離婚する場合にその財産の分配を取り決めることは非常に重要です。このページでは共有財産について、どういった種類があるのか、どう評価すべきか、債務がある場合にはどうするべきかなど、さまざまな観点から解説していきます。ぜひご覧になり参考にしてください。

財産分与の基本概要について

結婚生活において夫婦で築いた資産は共有財産といい、離婚時にはどちらか一方が権利を有するのではなく公平に分配する必要があります。名義が夫婦どちらのものであるかや収入が多いか少ないかは関係なく、基本的には2分の1ずつ分け合うことになります。夫婦間において「財産分与をしない」という選択肢ももちろんありますが、離婚後2年間請求しなかった場合には請求ができなくなる点にも注意が必要です。(2026年施行の改正民法では5年間に延長予定)また、権利が確定してからは10年間で消滅時効が成立してしまいますが、調停申し立てにより除斥期間を中断することが可能です。

対象財産の種類と評価について

一言で共有財産といってもその内容は家庭によってさまざまです。ここではいくつか具体例を挙げ、財産分与の対象となる共有財産にはどのようなものがあるのか、またどのように評価されるのかなどを紹介していきます。

動産

家具・家電の扱い

家具や家電などは生活をする中で種類や数が増えますので、どう分配するかが難しいでしょう。まず財産分与の対象となる家具・家電については「婚姻期間中に共同購入したものが対象になる」という点を押さえておきましょう。また、もう一点注意すべきはその評価方法です。1つの家具や家電を半分に割って分配するわけにはいきませんので、評価額が概ね同額になるよう分配することになります。その評価方法についてはリサイクルショップにおける査定額や購入価格に経年原価率を乗じるなどといったものがあります。また、現物を分配する以外の分配方法として売却金の分配などもありますので、どのようにして分配するかをきちんと話し合うようにしましょう。

不動産

借地権付き住宅

婚姻期間中に購入した住宅ももちろん共有財産として財産分与の対象となりますが、借地権の上に住宅を建てている「借地権付き住宅」の場合はどうすればよいでしょうか。この場合、住宅そのものに加えて借地権も財産分与の対象となりますので、方法としては「売却益の分配」か「現物分与」のどちらかから選択することになります。ただし、売却する場合には地主に対して了承を得なければいけない点、現物分与の場合には借地権の経済的価値評価が必要になる点に注意しなければいけません。場合によってはどちらか一方が住宅を取得し、もう一方に代償金を支払う財産分与とすることもあります。

相続物件

婚姻期間において購入した不動産は財産分与の対象になると紹介しましたが、購入ではなく「相続」の場合はどうでしょうか。祖父母や父母からの相続が発生した場合、その取扱いが気になる方は多いのではないでしょうか。結論からいうと、相続の場合は発生時期が婚姻期間内であったとしても「特有財産」として財産分与の対象にはなりません。これは民法762条に定めがあり、婚姻前から所有する財産や婚姻中に単独で取得した財産を特有財産と規定していて、相続の場合はこれに該当するためです。

しかしさまざまな条件が重なることで例外として共有財産扱いになる場合もあります。具体的な例をいくつか挙げると「配偶者が増改築費用を負担した場合」や「不動産の管理・維持に協力していた場合」「資産価値が増加したことを確認可能な場合」などがあります。共有財産と認められるかどうかは状況・事例によって異なりますので、不安な方や複雑な取り扱いで判断が付かない方は弁護士や司法書士などの専門家に相談することをお勧めします。

不動産の評価方法は?

不動産を財産分与する場合、共有持分のままにするか経済的価値を折半するかから選択することになります。実際に物件を売却した場合にはその売却代金を折半することができますが、そうでない場合には経済的価値を評価して何らかの形で分配することになります。

その際には不動産を評価する必要がありますが、どういった評価方法があるかご存じでしょうか。実務においては不動産鑑定士による評価・査定を行うほか、固定資産税評価額を使用するケース、公示価格と比較し検証するケースなどがあります。最終的には当事者の納得感で決まりますので、どの評価方法を用いるかをしっかり話し合って決めましょう。

特殊なケースについて

  • 債務を伴う場合

遺産相続の場面でも同じですが、離婚時における財産分与場面においては「負債」の取り扱いに注意が必要です。負債、つまり借金は借入目的によって、財産分与に対する影響が変わります。婚姻期間中に婚姻生活において必要なことから借り入れたローンなどは財産分与の対象として取り扱われることになります。従って住宅ローンや車のローンなどがある場合、住宅だけ・自動車だけを財産分与するのではなく、付随するローンも同時に分配することになります。ただし、婚姻生活に関係のない個人的な借金は財産分与の対象外となりますので覚えておきましょう。

また、債務を財産分与する場合にはほかにもさまざまな点に注意をする必要があります。まず対象となる債務が「共同債務」の場合、その分担ルールについて確認しておく必要があります。他にも債権者保護のためにはきちんとその分配について公正証書を作成しておくことが望ましく、その場合は手続きが必要になります。また、資産を換価しても負債が消えない「債務超過」の状態にある場合、財産分与を行わず借入金の名義人が返済義務を負うことになりますので注意しましょう。

  • 第三者の名義が絡むケース

夫婦のどちらか一方、もしくは両者による共有名義の財産の場合、分配が公平になるよう財産分与を行うことになります。しかし中には親名義の住宅に住んでいるケースなどがあり、その場合には取り扱いについて注意する必要があります。「親が所有する土地に家を建てた」「購入時に親から金銭的支援を受けた」などの場合、財産分与の対象外となります。

また、相続などによって所有権を得た不動産で名義がどちらか一方である場合や第三者が所有者である場合などにおいても、その所有や管理における協力状況などによっては「実質的共有財産」として認定されることがあります。購入時の事情やその後の使用・管理の実態状況によっては名義貸しとみなされるケースがあるため注意が必要です。

プロに相談してスムーズな解決を

離婚に向けて協議をしている方や財産分与についてお悩みの方は、ぜひこのページで紹介・解説した内容を参考にしてください。なかなか話し合いがまとまらない・揉め事に発展してしまったなどでお困りの方もいらっしゃるでしょうから、離婚時の財産分与については弁護士や不動産会社など経験豊富な専門家・プロに相談することを検討してみてはいかがでしょうか。このサイトではほかにも離婚における不動産トラブルに関するコンテンツを公開していますので、ぜひチェックして下さい。

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