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離婚に伴う名義変更には、「不動産などの財産分与による名義変更」「離婚届を出して氏名を戻したりする名義変更」があります。ここでは、それぞれの名義変更にかかる費用をまとめていますので、参考にしてください。
財産分与による不動産の名義変更の費用相場
財産分与により不動産の名義変更を行う場合のおおまかな流れは以下の通りです。
- 財産分与について記載されている離婚協議書を作成する
- 離婚協議書に則り離婚届を提出する
- 登記申請書を作成し法務局へ提出する
- 登記識別情報などの書類を受けとり完了
名義変更を行う中では、さまざまな費用が発生します。どのような費用が必要となるのかについて、下記にて解説していきますので参考にしてください。
離婚協議書
離婚協議書は、離婚する際に夫婦間で決めた離婚条件を記した書面です。取り決め内容を書面に残すことによって、合意内容をめぐるトラブルを避けられます。また、財産分与など金銭に関する取り決めを行った場合には、公証人に依頼して離婚公正証書を作成することがおすすめです。離婚公正証書において執行認諾文書を設けることで、調停や審判、裁判などを行わずに強制執行の手続きを行えるメリットがあります。
離婚の公正証書を作成する際の手数料は、「公証人手数料令」という政令により金額が定められており、「財産分与」「慰謝料」「養育費」の金額をもとに計算が行われます。そのほかにかかる費用としては、市役所や法務局にかかる費用(登記簿謄本(登記事項証明書)の発行手数料など)や、弁護士に依頼する場合にかかる費用があります。
必要書類の発行手数料
不動産の名義変更を行う際にはさまざまな書類が必要となります。ここではどのような書類が必要になるのか、またそれぞれの発行手数料について紹介していきます。
| 必要書類 | 手数料 |
|---|---|
| 登記事項証明書 | 480~600円 |
| 住民票の写し | 200~300円 |
| 固定資産評価証明書 | 200~400円 |
| 印鑑登録証明書 | 200~300円 |
| 戸籍謄本 | 450円 |
税金
登録免許税
不動産の名義変更を行う際は「登録免許税」が発生します。この登録免許税は「固定資産税評価額×税率」で計算が行えますが、税率は不動産の取得方法により下記のように変わります。
- 相続で不動産を取得した場合:0.4%
- 上記以外で不動産を取得した場合:0.2%
以上から、財産分与による名義変更の場合の税率は「0.2%」となります。
譲渡所得税(復興特別所得税、住民税含む)
譲渡所得税とは、不動産を含む財産を譲渡した際に生じる利益により課税されるものです。離婚に伴う財産分与により不動産を譲渡するケースでは、譲渡所得税の課税対象となる場合があります。
具体的には、離婚時の不動産の市場価格が、その不動産を取得した時よりも上昇している場合に譲渡所得が発生し、その利益に対し譲渡所得税が課税されます。実際の税額は「課税長期(短期)譲渡所得金額=財産分与時の時価-(取得費用+譲渡費用)-特別控除」という計算式で求められます。また、所有期間によって長期もしくは短期譲渡所得となり、税率が変わります。
贈与税
離婚時の財産分与では基本的に贈与税は発生しないものの、場合によっては贈与税が発生するケースもあります。贈与税の金額は、「分与された財産の価額から基礎控除額の110万円を差し引いた金額(基礎控除後の課税金額)」に応じて変わります。例えば、基礎控除後の課税金額が200万円以下の場合は贈与税率が10%となります。
司法書士への報酬
不動産の名義変更を司法書士に依頼する場合には、当然ながら報酬が発生します。その場合の費用は、依頼内容によって異なります。日本司法書士連合会が行ったアンケートによると、それぞれの名義変更の原因と報酬は下記のとおりとなっています。
- 相続の場合:3~12万円
- 贈与の場合:2~9万円
- 売買の場合:2~15万円
参照元:司法書士の報酬と報酬アンケートについて(平成30年1月)」|日本司法書士連合会 (https://www.shiho-shoshi.or.jp//cms/wp-content/uploads/2014/02/7b6902377d481ddc7fe33ced428ce7cd.pdf)
住宅ローンの名義変更は原則不可
離婚する際に住宅ローンの残債がある、といったケースもありますが、住宅ローンの名義変更は原則不可となっています。ただ金融機関に相談を行い、審査に通れば名義を変更できる可能性も考えられます。そのため、まずは金融機関に相談をしてみることが必要となります。
相談の結果、変更が認められなかった場合にはいくつか方法がありますが、例えば「ローンの乗り換え」「夫婦間売買を行いどちらかのものにして名義変更を行う」といった方法があります。
離婚による氏名の名義変更の費用相場
ここでは離婚に伴って苗字を旧姓に戻したり、子どもがいる場合の手続きについて紹介します。また、この場合の名義変更に伴う費用を紹介します。
離婚と同時に旧姓に戻す
離婚と同時に旧姓に戻す場合には、離婚届の提出によって婚姻前の苗字に戻ります。そのため、離婚届を出すのみであれば費用はかかりません。
また離婚時の取り決めを記載した離婚協議書を作成する場合、自分で作成するのであれば費用はかかりませんが、公正証書にするには公正役場の作成手数料、弁護士や行政書士に依頼した場合には報酬が発生します。
子供の苗字は「子の氏の変更許可申立て」
子どもの苗字は親の離婚に影響されません。そのため、両親が離婚したからといって自動的に親権者と同じ苗字に変わるわけではなく、変更するには子どもの住所地の家庭裁判所で「子の氏の変更許可申立て」を行う必要があります。
申立てを行うには、収入印紙(800円)と裁判所宛の郵便切手、戸籍謄本などの書類を取得するための費用が発生します。
