熟年離婚と住宅ローンの対応方法

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熟年離婚では、住宅ローンの残債が少なくなっている一方で、退職金や年金分割といった資産の取り扱いも重要な争点になります。長年積み重ねた不満が表面化しやすい頃でもあるため、財産分与の割合や方法をめぐって揉めるケースも少なくありません。

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熟年離婚でも避けられない「住宅ローン問題」

なぜ熟年離婚で住宅ローンが大きな壁になるのか

近年、長年連れ添った夫婦が50代、60代で離婚する「熟年離婚」が増加傾向にあるといわれています。財産も家も長年かけて共に築いてきたからこそ、いざ離婚に際し、分ける作業が難しくなるのが熟年離婚の特徴です。
特に、完済していない住宅ローン付きの持ち家は、法律面、経済面、そして感情面のすべてにおいて、トラブルの火種となりやすいものです。夫が定年前後で収入も不安定になる時期と重なるため、返済計画に狂いが生じて離婚後の生活設計にも深刻な影響を及ぼします。

ローン名義は夫でも妻が無関係ではない理由

多くの妻は、「ローン名義は夫だから、自分には関係ない」と思いがちです。しかしながら実際は、妻が連帯保証人や連帯債務者として契約しているケースが多く、仮に妻が連帯保証人、連帯債務者であれば、たとえ離婚したとしても、夫の返済状況によっては、銀行は妻へ返済請求する可能性があります。

また、仮に妻には契約上の責任がないとしても、離婚後も妻がその家に住み続けるならば、夫のローン返済状況が自身の生活に直結します。夫の滞納が続けば、いずれ家の差し押さえや競売へと発展し、妻は立ち退きを余儀なくされる可能性があるでしょう。

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一般社団法人
不動産あんしん相談室
代表 神田 加奈氏
代表
神田 加奈
離婚時の不動産トラブル問題を解決するプロ
不動産コンサルタント

熟年離婚の複雑な悩みにもワンストップで対応

熟年離婚では、住宅ローンの残債が少なくなっていることが多い一方で、退職金や預貯金、さらには年金分割といった財産面の調整も必要になります。加えて、長年の不満や価値観の違いが蓄積されているため、感情のもつれから個別の話し合いだけでは解決しにくいケースも少なくありません。
不動産あんしん相談室では、こうした複雑な問題に対して、離婚問題に詳しい弁護士と連携しながらサポートしています。離婚協議書の作成はもちろん、不動産の売買契約や重要事項説明書の整備まで、必要に応じて幅広く対応可能です。
オーバーローン物件についても、任意売却やリースバック、住宅ローンの組み換えなどを通じて「住み続ける」選択肢を検討できます。
まずはLINEから、お気軽にご相談ください。

名義の確認を含めた基本的な整理

住宅ローン残債のある状態で熟年離婚する場合の確認事項、および基本知識を整理しましょう。

住宅の名義とローンの名義を確認する

何よりも最初に確認しておきたい内容が「名義」です。住宅の名義と住宅ローン契約上の名義を速やかに確認しましょう。

  • 住宅の名義:登記簿謄本を取り寄せて「不動産の名義人」を把握する
  • 住宅ローンの名義:金融機関から交付された書類を基に、ローン契約書や連帯保証人、連帯債務者などの名義を確認する

これらの名義こそ、以後の離婚協議における「選択の土台」となります。

財産分与の対象になる?住宅の扱い方

住宅ローン残債のある不動産は、アンダーローンかオーバーローンの違いにより財産分与制度の適用可否が分かれます。

  • ローン残高<住宅価値(アンダーローン)
    売却後に得られる差額が資産と見なされ、夫婦の財産分与の対象となります。
  • ローン残高>住宅価値の場合(オーバーローン)
    売売却後にも残る残債は原則財産分与の対象ですが、事情により特例的に異なる算定方法を用いることが認められる場合もあります。
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りこサポ編集チームより
妻は自宅に住み続けることはできるか?

住宅を夫名義のままとして、夫との間で賃貸借契約を結べば、妻が家に住み続けることができます。
その他にも住み続ける方法はいくつかありますが、いずれの方法であれ、夫名義のまま妻が住み続ける場合、様々なリスクが想定されるため(夫による残債の返済滞納など)積極的には推奨できません。

妻の立場で考える3つの選択肢と注意点

「住宅ローン残債あり」「熟年離婚」という妻がとりうる3つの選択肢を考えてみましょう。

自宅を売却して清算する場合

最もシンプルな方法は、不動産を売却して住宅ローンを一括返済し、残金を夫婦で分けることです。

  • メリット
    婚姻関係も住宅関係もきれいに整理できるため、今後のトラブルを避けやすい。
  • デメリット
    売却価格がローン残債を下回ると追加返済が必要となる(=オーバーローン)。

オーバーローンの場合、売却後の差額を自腹で一括返済できれば問題ありませんが、それができない場合、任意売却(金融機関の合意を得たうえでの売却)という選択肢が浮上します。ただし任意売却は、債権者との調整・交渉が必要な、時間と労力がかかる手続きです。もし任意売却を選択するのでしたら、実績のある不動産会社や専門家への依頼が不可欠です。

妻が住み続ける(引き取る)場合

妻が家に残り続ける場合、住宅ローンの名義変更を行っておくことが、後々のトラブルを避けるための有効な手段です。契約中の銀行から名義変更の同意を得られなければ、他の銀行を絡めたローンの借り換えが選択可能な手段となります。
ただし、一般的に妻単独の収入・信用力では、金融機関の審査に通らないことも少なくありません。現実的には難しい、と考えておいたほうが良いでしょう。
もし妻の名義変更や借り換えができない場合には、夫から支払いを継続してもらう合意を取り、公正証書や離婚協議書を通じて法的に拘束力を持たせることが重要です。支払い不履行のリスクを視野に入れた対策です。

夫に譲る(妻が出ていく)場合

夫が自宅に残って妻が家を出て、ローンは継続して夫が負担する形で合意するケースもあります。このケースの場合、妻は財産分与として現金や他の資産を受け取ることができます。あるいは、一定期間の住居提供などの条件交渉もできます。
この方法を選択する場合には、妻の生活費や慰謝料、年金分割なども含めて総合的に調整して、公正証書で明文化しておくことが大切です。

まとめ

熟年離婚における住宅ローンの問題は複雑です。まずは冷静に状況を整理し、法的・経済的な観点から適切な選択をすることが重要です。妻のとりうる選択肢は、「売却する」「住み続ける」「夫に譲る」の3つですが、いずれの選択肢であれ、専門家のサポートを受けることは必須となるでしょう。
住まいは人生の土台と言われます。熟年離婚後も、まだまだあなたの人生は続きます。安心して第二の人生を歩んでいけるよう、漏れのない万端の準備を進めていきましょう。

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