離婚と別居

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別居することによって離婚を認めてもらうには、通常5〜10年の期間が必要です。そして別居をする場合には、自分または相手が今の家から出ることになります。もし今の家に住み続けたい場合には、夫に家を出てもらう必要があります。

Index

別居が離婚に重要な法的理由

法定離婚事由に認定される可能性がある

協議離婚の場合、当事者同士の合意があれば、どのような理由でも離婚は可能です。しかし、中には片方は離婚を望んでいるもののもう片方は婚姻の継続を望んでいるケースも多くあります。このような場合に離婚するためには、法律で定められた離婚事由(法定離婚事由)が必要となります。

法定離婚事由の中に「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」というものがありますが、この事由で離婚が認められるための基準として、「事実上、夫婦生活が破綻していて修復不可能」というものがあります。ここで大きな判断基準となるのが「別居の有無とその期間」です。別居をしていた場合、必ずしも夫婦関係が破たんしていると認められるとは限りませんが、一般的に5〜10年の期間別居していれば、離婚自由として認められやすいとされています。

財産分与は別居スタート時が基準

離婚前に別居すると、財産分与にも関係してきます。財産分与の対象となるのは、「別居するまでに夫婦で築いた財産」です。婚姻が継続していたとしても、別居後に形成された財産は夫婦で協力して得られたものとは判断されないため、別居後に得た収入により増えた預金などは、財産分与の対象外となります。

有利な離婚のための別居の準備

悪意の遺棄にならない配慮

別居する前に、一方的な別居にならないよう相手と話し合うことが大切です。これは、夫婦には「同居義務」があり、一方的に別居してしまうと「悪意の遺棄」と見なされ、離婚の際に不利になったり慰謝料を請求されたりする可能性も考えられるためです。

別居したいと考えるのであれば、まずは話し合うことが必要。なぜ別居したいのか、そして離婚に向けた別居なのか、修復を目指すための別居なのかも話し合っておくことがおすすめです。

住居の確保

別居となった場合には、自分または配偶者が家を出ることになりますが、出ていく方は住居を確保する必要があります。パターンとしては、実家に戻る、新しく家を借りるというケースが考えられますが、経済状況などを考えて生活ができる方法を選ぶことが大切です。

もし自分が家を出る場合、相手に引っ越し費用を負担してもらうことはできないため、自分で用意する必要があります。もし自分が出ていくのが難しければ、今の家から相手に出て行ってもらう選択肢もあります。

住所変更等の手続き

もし自分が家を出て、この先元の家に戻る意思がない場合や、離婚を前提として別居する場合には、住所の変更も速やかに行います。市区町村役場に行き、必要な手続きを行いましょう。

ただし、配偶者のDVやモラハラから逃れるため家を出る場合には、新しい住所を配偶者に知られないようにする必要があります。この場合には、新しい住所のある市区町村役場に支援措置の申し出を行ってください。

手当や助成金

手当や助成金についても手続きを行います。

特に子どもが自分と一緒に転居する場合には、児童手当の受取人変更が必要になります。これは、新しく手当てを受け取る人が、市区町村役場で申請(変更)手続きを行います。生活費を確保するためにも、別居後はできるだけ早く手続きを行うことが大切です。

婚姻費用の請求

別居する場合には、婚姻費用分担請求を行います。この手続きもできるだけ早く行ってください。もし、配偶者が婚姻費用を任意に支払わない場合には、調停を申し立てて請求できます。

相手から婚姻費用をもらえる場合でも、それだけで生活ができるとは限らないため、別居後の生活費がどれくらい必要になるのかをシミュレーションしておいてください。もし、現在仕事をしていないのであれば、場合によっては新しく仕事を探す必要が出てきます。また、いずれ離婚をするつもりであれば、経済的に自立できるように準備していくことも大切です。

証拠収集

例えば、DVやモラハラを受けていたのであれば、別居前にそれらの証拠を収集しておきます。それ以外にも、財産分与の対象となるものと主張するための証拠も必要になります。特に、相手方の名義の財産は、別居すると調べることが難しくなります。同居している間に下記のような方法で証拠を集めておきましょう。

  • 相手方の通帳・キャッシュカードが自宅にあるのであれば、銀行名や支店名を把握し、写真やコピーを取る
  • 生命保険の保険証券のコピーを取る
  • 不動産のローン契約書などのコピーを取る

このような方法が考えられます。また、生命保険会社や証券会社から相手宛に郵便物が届いているのであれば、開封せずに封書やはがきの写真を撮っておきましょう(勝手に開封すると違法行為に当たるリスクがあります)。

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代表 神田 加奈氏
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別居する場合も、しっかりと準備することが大切

別居する場合には、勢いで飛び出さずにしっかりと準備をすることで、この先自分に有利に進められる可能性があります。しっかりと別居について話し合う、財産の内容を確認する、住む場所をしっかりと確保するなどやることはさまざまありますが、計画を立ててひとつひとつ対応していきましょう。

住所を確保したり、家を勝手に売却されてしまわないかなど、離婚にまつわる不動産トラブルが発生することがあります。そんな不動産トラブルも、「一般社団法人不動産あんしん相談室」におまかせ可能。不動産の知識がなくても、しっかりとサポートを受けられます。LINEでも相談を受け付けているので、気軽に相談ができるでしょう。

離婚で有効な別居にする方法

離婚事由として認められる別居にしたい場合には、単純に住まいを分ける以上の状態でなければなりません。下記にて離婚事由として認められないケースについてまとめました。

単身赴任や長期入院

単身赴任・長期入院の場合は、有効な別居と認められないケースが多いといえます。これは、生活の拠点が別であっても、いずれは同居に戻ることが予定されているため。また、夫婦の協力・扶助関係が無くなっているともいえないことが理由として挙げられます。親族の看病のための一時的な帰省や里帰り出産の場合も同様です。

例えば、上記のような一時的な別居について、離婚自由として評価される有効な別居に切り替えたいと考える場合には、相手に対して離婚したい意思を伝える・同居に戻る意思はない点を伝えることが必要となります。

家庭内別居

家庭内別居も「夫婦関係が破たんしている」点を証明するには難しいといえます。たとえ家庭内での会話がない・別の部屋で生活している状態だったとしても、それを証明するのは難しいため。もし相手から「通常の同居であり、夫婦関係の破綻はない」と主張された場合には、裁判所に家庭内別居と認定してもらうことは困難となってしまいます。

離婚で別居するメリット

裁判で離婚請求を認められる可能性が高くなる

前述の通り、別居の事実が、夫婦関係が破たんしていたかどうかを判断するための重要な事情として考慮されますので、離婚したい側にとっては離婚原因を作る手段になる可能性がある点が、大きなメリットといえます。

別居期間が経過することで、夫婦の実態がなく夫婦関係が破たんしていると認められ、離婚成立の可能性を高められます。

離婚の意思が固いことを相手に伝えられる

別居を開始すると、相手に対して離婚の意思が固いことを伝えられます。別居によって、「夫婦関係の修復は難しいかもしれない」と感じたことで、離婚に向けた話し合いを行っていくといった経緯をたどるケースも見られます。

落ち着いて離婚準備を進められる

相手方と別居して、落ち着ける場所を手に入れることで、離婚に向けて準備を進めていけるようになります。これまで同居をすることでストレスを感じていた、またモラハラやDVを受けていた人にとっては、別居によってストレスから解放され、離婚について冷静に考えて準備を始められるでしょう。

離婚で別居するデメリット

夫婦関係の修復が難しくなる可能性がある

別居によって離婚に向けて話し合いが進むケースが多い、と上記でご紹介しました。そのため、まだやり直す可能性もある場合には、別居によって具体的に離婚に向けた話が進むかもしれない点はデメリットであるといえます。夫婦関係を修復したいと考えているのであれば、別居は慎重に行うことが必要です。

相手から離婚を請求される可能性がある

ひとまず距離を置くために別居するケースもあるかもしれません。しかし、別居したことで夫婦関係が冷めてしまい、相手から離婚を請求される可能性も考えられます。また、しっかりと話し合いをせずに別居した場合、「悪意の遺棄」に当たるとして相手から離婚を請求されることもあり得ます。

証拠の収集がしにくくなる

DVの証拠や財産分与のための調査をする必要がある場合には、別居すると証拠の収集が難しくなります。そのため、何らかの証拠集めをしなければならない場合には、別居前に済ませておくと良いでしょう。

【離婚したい】別居したほうが良いケース

DVなど直接被害が発生している

もしDVなどを受けている場合には、自分の身を守るためにも別居した方が良いと考えられます。この場合、警察などに相談しながら早急に動くことが必要になりますし、安全な転居先を見つけるまでの間は自治体などに相談して一時保護施設(シェルター)の利用も検討してください。

子どもや親への虐待などの被害が発生している

自分以外の家族、例えば子どもや親の虐待などが行われている場合も、上記と同様に早急に別居をすることが望ましいといえます。この場合にも、警察や自治体に相談しながら別居の準備を進めましょう。

上記以外は事前の通達が安全

上記のように、DVや虐待により被害が発生しているケース以外については、まずは相手と話し合いをした上で別居をする方が無難であるといえます。これは、前述の通り「悪意の遺棄」と見なされてしまい離婚を請求されるケースがあるためです。また、収入がない場合にいきなり別居をしてしまうと、当面の生活費に困ることになるため、まずは話し合いをし、離婚までの生活費について取り決めを行った上での別居が理想です。もちろん関係が悪化してしまうとそこまで取り決めてからの別居は難しいと予想されますが、まずは話し合いを行った上で別居することが必要といえます。

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別居に踏み切る前に、まず話し合いを

離婚前の別居には、メリットもデメリットもあります。ただし、離婚することを決めていたとしても、自分が不利な状況になってしまわないように、まずは相手と話し合いをしてから別居に踏み切ることが必要であるといえます。ただし、DVなどで被害が出ている場合には、早急に別居に向けて動くことが大切です。

離婚を選択した場合には、さまざまなトラブルが発生することがありますが、離婚トラブルの解決は弁護士を頼ることが望ましいといえます。「一般社団法人不動産あんしん相談室」であれば、近くの弁護士を検索することができますので、困ったときにはまず一度相談してみてください。

子どもがいるときの別居

違法な子連れ別居は親権争いで不利

別居をする際に相手に何も告げず、勝手に子どもを連れて行ってしまった場合、「違法な子どもの連れ去り」と主張される可能性があります。例として、別居開始から一定期間が経ち、客観的に見て相手が監護養育しているケースにおいて、子どもを待ち伏せしてそのまま自分が住んでいる家に住まわせた場合などは、連れ去りが違法とみなされ、親権争いの際に不利に働く可能性が高いといえます。

別居中の子供を連れ戻すには

子どもが相手と暮らしているものの、自分の元に連れ戻したいと考えることもあるかもしれません。このような場合、子どもに会わせて欲しいという申し入れが聞き入れられない場合は、家庭裁判所において面接交渉、別居中の子の看護者の決定を求める調停の申し立てを行います。

別居中でも児童手当・扶養手当はもらえる

別居をしたとしても、収入などの条件を満たしていれば児童手当や扶養手当を受け取ることは可能です。児童手当の額は、3歳までは一律15,000円・3歳~小学校卒業までは10,000円(第3子以降は15,000円)、中学生は一律10,000円です。

児童扶養手当は、年3回支給が行われ、子ども1人につき41,720円、2人の場合は46,720円、子どもが3人で49,720円の手当てが支給されることになります。

離婚に向けた別居は、準備をしっかり行うことが大切

こちらの記事では、「離婚と別居」をテーマとしてさまざまな情報をお伝えしました。離婚を視野に入れた別居の準備について、別居のメリット・デメリット、すぐに別居をした方が良いケース、子どもがいるときの別居の注意点などについてまとめていますので、これから別居を考えている方はぜひ参考にしてみてください。

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