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離婚の際にトラブルになりやすいのが共有持分。共有持分とは、その土地や不動産などが複数人によって所有され、それぞれの人が持っている所有権の割合のことです。離婚時に共有持分をそのまま放置しておくことは後々のトラブルに発展する可能性があります。よって、持ち家が共有持分の場合は、適切に対処する必要があります。
今回の記事は、共有持分のままにしておくリスクや、持ち家が共有持分だった場合の対処方法などについてまとめています。
共有持分のままにしておくリスク
持ち家を夫婦の共有持分のままにしておくことはさまざまなリスクを生みます。以下では、代表的なリスクとして5つを挙げた上でそれぞれ解説します。
離婚後も元パートナーとの関係が続く
離婚後も家を共有持分のままにしておくということは、離婚後も家を通じて元パートナーとの関係が続くということを意味します。離婚した相手といつまでも連絡を取り合うのはストレスになりますし、そこからまたもめ事が生じる場合もあります。
有効活用ができなくなる
民法では、不動産が共有になっている場合、不動産を貸したりリフォームしたりする行為は、共有者の過半数で決するとされています。
また、不動産全体を売却処分したり、不動産全体に抵当権を設定する場合には、共有者全員の同意が必要となります。
つまり、持ち家を夫婦二人の共有名義のままにしていると、相手の同意を得なければ賃貸借やリフォーム、持ち家全体を売却処分したり抵当権を設定したりする行為ができません。
維持費がかかる
その家に住んでいなくても、不動産は所有しているだけで固定資産税がかかりますし、不動産業者などに管理を任せるにしてもお金がかかります。
また、その支払い方法についても、どちらがどの程度負担するかなどでトラブルになる可能性があります。
ローンの支払いでトラブルが起こる
離婚時にローンの支払いが残っている場合、離婚後も引き続きローンを支払い続ける必要があります。
例えばローンが元夫の単独名義で妻が引き続き持ち家に住み続ける場合、元夫は持ち家に住んでいないため、ローンを支払わなくても困りません。よって、ローンの支払いが滞る可能性があります。支払いが滞り続けると、最終的には持ち家が差し押さえられて競売処分されるリスクがあります。
また、ペアローンの場合、お互いローンの支払いが続くことになり、お互いが相手の連帯保証人となっていることが通常です。相手のローンの支払いが滞ると、連帯保証人である自分が支払わなければならず、返済の負担が増えるリスクがあります。
相続がややこしくなる
離婚後も持ち家を共有持分のままにしていると、共有持分権者である元夫が亡くなった場合には相続が発生します。元夫が再婚していた場合はその配偶者や子どもが相続し、全く知らない他人と持ち家を共有することになります。必然的にトラブルに発展する可能性が高くなります。
このように、将来的にさまざまなトラブルにつながる可能性があるため、共有名義の不動産を持っているのであれば、離婚の際に共有名義を解消しておくことをおすすめします。
持ち家が共有持分の時の対処法
共有持分を売却するには、自分の共有持分だけを第三者に売却する、共有者間で売買する、共有者全員で第三者に売却するなどの方法があります。
第三者に売却する
共有持分では、自己所有している共有持分だけを第三者にすることが可能です。ただし、売値が安くなってしまったり、他の共有者とトラブルになったりする可能性も高くなります。
共有者すべての合意を得れば、不動産全体を第三者に売却する方法も可能です。不動産全体を売ることができるので、自分の持分のみを売る場合と異なり、相場価格で売却できるというメリットがあります。売買契約の際、売買契約書には共有者全員の署名・捺印が必要になります。
アンダーローンの場合には売却によって手元に現金が残るため、夫婦間で折半することが可能です。
オーバーローンの場合には持ち家を売却してもローンを完済できず、引き続き残債を返済していく必要があります。
財産分与で単独名義にする
住宅ローンの残債がない場合、離婚時の財産分与においては夫婦の共有財産を半分ずつ分け合うのが原則です。自分の単独名義にして住み続けたい場合、相手と交渉して持ち家を単独名義にしてもらう代わりに他の財産と交換するという方法が考えられます。
一方、住宅ローンの残債がある場合に単独名義にするためには、住宅ローンの借り換えや一括返済が必要です。
元パートナーから買い取る
財産分与で共有持分と交換できる財産がない場合、元パートナーから共有持分を買い取る方法も可能です。その際は、売却価格でもめることのないよう、不動産鑑定を受け、適正な価値を判断してもらいましょう。
財産分与の対象とならない特有財産がある場合、特有財産を売却して共有持分を買い取る代金に充てることができます。
買い取るだけの資金がない場合、親から援助をしてもらうことも可能ですが、親から贈与を受けた場合には贈与税がかかることは頭に入れておきましょう。
なお、ローンの残債がある場合には借り換えや一括返済を行う必要がある点については、財産分与で単独名義にする場合と同様です。
元パートナーに売却
自分が持ち家に住み続けない場合には、元パートナーに自分の共有持分を売却することも可能です。元夫婦間での売却であるため、第三者に売却するよりも迅速に進めることが可能です。
一方、自分が引き続き持ち家に住み続ける場合には、元パートナーの名義となってしまうため避けたほうがよいでしょう。
自分の共有持分のみ売却する
どうしても共有持分を解消したいが、上記のいずれの方法も取れないような場合には、自分の共有持分のみを第三者に売却することもできないわけではありません。共有持分のみの売却であれば、元パートナーの同意は不要です。
ただし、財産分与においては、持ち家の持分割合がどのようなものであったとしても、基本的には半分ずつの分与となります。持分割合に従って財産分与の前にその持分を売却してしまうと、財産分与の際にトラブルとなる場合があります。
また、持分割合は半分未満の場合に、持分割合に沿って売却してしまうと、財産分与の際に損をする可能性があります。
さらに、自分の共有持分のみを売却してしまうと、元パートナーとは無関係な第三者が持ち家を共有することになり、トラブルとなる可能性が高くなります。
よって、自分の共有持分のみを第三者に売却する方法は、なるべく避けたほうがよいでしょう。
これで解決!離婚後の共有持分の不動産トラブル事例
ここでは、離婚時の共有持分に関する不動産トラブルの解決事例を紹介します。
元夫との間に立って交渉も
神奈川県に戸建て住宅を保有していた50代女性。実父の土地に夫婦で共有持分として建物を建てたが、夫と離婚し建物の持分が2分の1になった。買い取り先を探していたもののなかなか見つからず、一般社団法人不動産あんしん相談室で買い取ってもらうことに。元夫との間に立って、手紙のやりとりをするなどの交渉も行ってもらうことができた。
どの不動産会社も拒んだトラブルをスピード対応
京都府の40代女性。調停離婚で元夫名義の家の持分2分の1の権利を取得。しかし残りは元夫の親族の持分であり、元夫もそのまま家に住み続けている状態。相手方は売却にも退去にも応じず、家賃相当額を支払うよう求めるも拒否。どの不動産会社も対応してくれなかったが、一般社団法人不動産あんしん相談室が相談から売却までスピーディーに対応し、共有持分のトラブルを解決。
不動産あんしん相談室
神田 加奈氏
共有持分のトラブル解決は専門家へ相談を
離婚の際に自宅などの不動産が共有持分になっていると取り扱いが難しくなりトラブルが生じる可能性が高くなります。
共有持分の処理に困った場合やトラブルに発展した場合には不動産屋さんや弁護士に相談することをおすすめします。共有持分を適切に処理するためのアドバイスをいたします。