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離婚後もペアローンの返済義務は残り続ける
ペアローンとは住宅などを購入する際に組むローンのうち、夫婦名義で互いの連帯保証人になる形で借り入れるものをいいます。ローンに関しては債権者との相対契約になることから、仮に離婚したとしても互いの連帯保証人としての地位は残り続けることになります。
離婚とペアローンのよくあるトラブル
ローン控除など各種手当が使えなくなる
居住している住宅のローンを支払っているときは住宅ローン控除を受けられますが、離婚後に家を出る側は住宅ローン控除を受けられなくなる点に注意が必要です。住宅ローン控除は、「控除を受ける年分の12月31日まで引き続き居住していること」という適用要件があります。住んでいなくてもローンは残っているため返済義務はあるのに、各種手当が使えなくなり、負担が大きくなります。離婚時にきっちり試算しておかないと、予想していた以上の負担感を感じてしまうでしょう。
相手が滞納すると支払い負担が増える
ペアローンはお互いが連帯保証人です。相手が滞納すると、自分が負担しなければいけません。特に家を出た側にはローンを支払い続ける負担が大きく、支払いが滞るトラブルが発生しやすいです。ペアローンの特徴として、一人の収入では借入れできない少し贅沢な家を購入できるということがあります。夫婦の収入を合算して返済する計画だったはずが、自分ひとりで返済の負担を背負うことになれば、通常の生活が困難になるほどの借金苦に陥りかねません。
一括返済を求められる可能性がある
ペアローンの大きなリスクが一括返済を求められる可能性があることです。ペアローンはそもそも夫婦二人での居住を前提としているため離婚後に一方が転居すると契約違反となる可能性があります。また、住宅の名義変更をした場合も住宅ローンの名義と異なるため契約違反とみなされる可能性が高いです。離婚により世帯収入が減少し、返済が滞ると、分割返済の権利を失います。こうした理由から、一括返済を求められる可能性がある点に注意が必要です。
名義変更ができない可能性がある
住宅ローンにおける名義は、原則として変更することができません。借り換えを行ってローンをまとめるなどのような形で手続きをすることができれば事実上名義を変更することは可能ですが、そのためには十分な返済能力があると認められ審査に通る必要があるため、ハードルが高いです。住宅ローンの名義変更が出来なければ対象となる物件の名義変更も行うことができませんし、元配偶者が返済を滞納するなどした場合は自分の返済負担が大きくなります。
自宅の売却が難しい
ペアローンで購入した住宅を売却するには、双方の合意が必要です。家を出る側が売却したくても、住んでいる側が売却に同意しないというケースは少なくありません。自分の資産であっても、自由に処分できない可能性があります。また、住宅の売却価格が住宅ローンの残債額を下回るオーバーローンになっている場合は、金融機関側が売却を認めてくれません。売却できることになったとしても、業者によっては足元を見て安く買いたたこうとするところもあるため、注意が必要です。
ペアローンとは?仕組みについて解説

ペアローンは、一つの物件に対して夫婦や親子がそれぞれ主契約者となる住宅ローンです。たとえば4,000万円の借入れの場合、夫が3,000万円、妻が1,000万円というように分けて契約します。単独での借入れよりも高額な融資を受けられる可能性があり、やや贅沢な家を購入できることが魅力です。
ペアローンを組む際は、互いが連帯保証人となります。夫名義のローンは妻が連帯保証人、妻名義のローンは夫が連帯保証人です。そのため、もし離婚することになった場合、返済に関連したトラブルが発生する懸念があります。
ペアローンのメリットデメリット
メリット
ペアローンを利用する際のメリットとしては、まず2人分の住宅ローンを合わせることにより、借入金額の上限が上がるため、その分高額な住宅も選択肢に入ってくる、という点が挙げられます。それに加えて、夫婦それぞれが名義人となることから住宅ローン控除もそれぞれが受けられ、節税面でも大きなメリットがあるといえます。
デメリット
夫婦それぞれが住宅ローンを契約するため、ローンを組む場合の諸経費がその分必要になり、契約時の初期コストが高くなる点がデメリットとして考えられます。また、団体信用生命保険は加入者ごとの加入であるため、万が一夫婦のどちらかが亡くなった場合でも、保険で支払われるのは片方分の残債のみとなる点もデメリットのひとつです。
離婚でペアローンの名義人が変更できないといわれる理由
ローンの名義変更が原則不可
住宅ローンは、ローン契約を締結した人が最後まで支払うことが原則となります。この点から、金融機関は離婚という理由だけでローンの名義人の変更を認めてくれないため、離婚後も元配偶者と不動産を共有するという状況が続くことになります。
売却しにくい
ペアローンを組むということは、不動産名義は共有名義の状態であることを指します。この場合、家を売却するには双方の同意が必要となります。この点から、ペアローンがあると家を売却しにくいという問題が出てきます。
不動産あんしん相談室

神田 加奈氏
離婚時のペアローン問題は
不動産屋さんに相談がおすすめ
ペアローンを組んでいた夫婦が離婚をする場合、「自宅をどうするか」「ローンをどうするか」という大きく2つの観点から対応を協議・検討する必要があります。そのまま住み続けたい・物件を売却したいなどといった要望があるのであればそれぞれの目的に応じた手段に対応できる不動産会社を探すことになります。
「一般社団法人不動産あんしん相談室」は離婚時における不動産問題にも精通した不動産業者であり、リースバックやローンの借り換えなどといったさまざまな経験を持っていますので、きっとあなたにピッタリの解決策が見つかるでしょう。LINEで簡単に相談することもできますので、ぜひ検討してみてください。
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離婚後もペアローンのままにしておくリスク
離婚後もペアローンを継続した場合、さまざまなリスクが考えられます。
維持費がかかる
固定資産税や都市計画税など、不動産は所有するだけで維持費がかかります。実際にその家に住んでいないとしても、経済的な負担が発生します。
共有名義で不動産を所有している場合は、上記のような維持費も共同で負担することが一般的ですが、もし相手が支払いに応じなくなった場合には、一人で負担する必要が出てくるというリスクも考えられます。
自由に売却できない
ペアローンを維持するということは、その物件は共有名義のままであるということです。共有名義の不動産を売却する場合には双方の同意が必要になるため、自由に売却ができない点もリスクのひとつとして挙げられます。もし離婚をして距離ができた場合、さらに話し合いが困難になることが予想され、より売却が難しくなるといえます。
持分のみ売却されている場合がある
不動産を共有名義で所有している場合、一般的には「共有持分」という形で所有権を分け合うことになります。不動産全体として売却するためには所有者全員の合意が必要ですが、自身の持っている共有持分のみの売却であれば単独での意思決定が可能です。そのため知らない間に元配偶者が自らの共有持分のみを知らない第三者に売却してしまっていて、その第三者との共有物件になってしまっている可能性も出てきかねませんので注意が必要です。
相続が複雑化する
共有名義の場合、相続が複雑化するというリスクもあります。所有者の片方が亡くなった場合、その人の所有分は通常は遺族が相続することになります。亡くなった人がもし再婚し、その相手との間に子どもがいれば、その子どもが共同所有者として相続します。そのまま相続が進んでいくと、共有名義人が増え続けるため、より共有関係が複雑になると予想されます。
相手が滞納する可能性がある
ペアローンの場合、夫婦それぞれが返済を続けていく必要がありますが、一方の返済が滞ると、連帯債務者となっているもう片方の人に督促が届きます。2人分のローンを支払うことが難しく、そのまま放置すると最終的に競売にかけられてしまうケースも考えられます。
住宅ローン契約の違反になる
住宅ローンの契約者以外がその家に住むことは、住宅ローン契約において違反となります。また、契約者が居住していない場合も違反となります。ペアローンの場合、夫婦の共同名義であるために、片方が出ていくことは住宅ローン契約における契約違反になると考えられます。さらに、勝手に第三者に貸し出すことも違反行為とみなされる恐れがあるため、注意する必要があります。
ペアローン返済中に離婚したときの対処法
ペアローンを組んでいる夫婦が離婚するとさまざまなリスクがあると紹介しましたが、ペアローンの返済中に離婚したしまった時には具体的に何をすればよいのでしょうか。多くのケースでは、「持ち出しで一括返済」「売って返済」「借り換え」などで整理をすることが一般的であり、住み続けたい場合にはリースバックなどの手段をとる方法もあります。
離婚後も住み続ける方法
持ち出しで一括返済する
もし手持ち資金に余裕がある場合、持ち出しにはなりますが一括返済を行うとよいでしょう。契約内容によっては繰り上げ返済に伴う違約金などが発生するケースも少なくありませんが、今後支払う予定であった利息を考えると返済総額は抑えられることがあります。後々さまざまなトラブルリスクになり得ることを考えると、もし一括での返済が可能なのであれば離婚時にきれいに整理をしている方が精神的にもいいかもしれません。
ペアローンの一本化
債務引き受け
債務引き受けとは「債務の同一性」を失わせずに債務者ではない第三者が債務を引き受ける事をいいます。分かりやすくいうと「他人の借金を肩代わりする」行為であり、「免責的債務引受」と「併存的債務引受」の2種類があります。「免責的債務引受」はその名の通り元の債務者の返済義務がなくなるものであり、「併存的債務引受」は元の債務者も返済義務を負ったまま引受人が債務負担を行うものです。ただし引受人に返済能力があるかの審査もされますので、ハードルは高い手続きです。
借り換え
ペアローンを組んだ金融機関ではない別の金融機関から借り入れを行い、既存債務を返済することを「借り換え」といいます。この手続きを行うことにより、実質的にペアローンを一本化することができます。ただしこちらの手続きも新たに借り入れる金融機関において債務者の返済能力についての審査が行われますので、ペアローンだから住宅ローンが組めていた、という水準の収入の方であればかなりハードルが高くなってしまいます。
リースバック
リースバックはリース会社などに不動産を売却し、その後は一定の賃料を支払いながら同じ物件に住み続ける手法のことをいいます。リース会社から得た売却代金を既存の受託ローン返済に充てる形のものであり、住宅ローンをクリアにしてなおもその物件に住み続けたい場合にはおすすめです。しかし物件の売却金額が残債を下回るいわゆるオーバーローンの場合には名義変更ができなくなってしまう恐れがありますので注意が必要です。
自宅を売却する方法
アンダーローンなら通常売却
住宅は購入した時の価格と実際に売却する時の価格が同じとは限りません。むしろ建物は老朽化していきますので、その分だけ価値が下がってしまうことになります。そのため実際に売却する場面においては、住宅ローンで支払った元本以上に住宅価値が下落していることも少なくありません。売却価格が住宅ローン残高を上回っている場合には「アンダーローン」、反対に下回っている場合には「オーバーローン」といいます。「アンダーローン」の場合には住宅ローンを完済したうえで余剰資金を分配できるので、通常売却が可能です。
オーバーローンは任意売却
「オーバーローン」の場合には売却代金を全額返済に充当しても住宅ローンが完済できませんので、抵当権を抹消することができず名義変更ができない状態となってしまいます。手持ち資金にいくらか余裕があり、不足額を持ち出せる場合には手続きが可能ですが、資金的余裕もない状態であればオーバーローンによって売却できないという状態に陥ってしまいます。そういった場合には「任意売却」という手法で売却を進めることになります。さまざまな条件のある手続きですので、最終手段としての売却であると考えておきましょう。
賃貸に出す方法もある
離婚時の協議でその不動産に夫婦どちらも住み続けないことになった場合、一般的には売却することになるでしょう。しかしオーバーローンなどの理由から売却ができず返済のみが発生してしまうようなケースも少なくありません。そういった場合には物件を賃貸に出すという方法も可能です。第三者に対して賃貸し、獲得する賃貸収入を住宅ローンの返済原資とすることにより、引き続き返済を継続できる可能性があります。
ぺアローンで家を購入するメリット・デメリット、離婚にともなって生じうるぺアローンの諸問題、および未然の対策などについて解説しました。
当記事を最後までお読みになった方は、まさに今現在「ぺアローンと離婚」の問題に直面しているかもしれません。
住宅ローンや不動産が絡む離婚は、非常に複雑で難しい状況を生む可能性もあるため、一人で悩んだり夫婦で協議したりしても、適切に解決できないことがあります。離婚時の不動産トラブルが想定される方は、トラブルが発生しないうちに、またはすでに発生したトラブルの傷口が深くならないうちに、早めに専門の不動産コンサルタントへ相談するようおすすめします。
離婚の際のペアローンの解消にお困りの方はご相談を
離婚の際にペアローンを解消することは簡単ではありません。ペアローンを解消するために、まずは専門家へ相談することをおすすめします。解消できなかったとしても他にとるべき方法をアドバイスしてくれるでしょう。