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離婚と相続が関連する主な問題として、「親から相続した土地・家の財産分与をどうするか」「離婚後の子どもの相続権をどうするか」という2つがあります。当記事では、これら2つの問題について、妻(自分)の視点から解説しています。
親から相続した土地・家の財産分与
自分(妻)が親から相続した土地に、パートナー(夫)の名義で建物を建てたケースについて、離婚後の財産分与ではどのような取り扱いになるのでしょうか?
親から相続したものは財産分与対象外
原則として、自分が親から相続したものは「特有財産」に分類されるため、財産分与の対象にはなりません。
特有財産とは、夫婦の協力とは関係なく自分が所有する財産のこと。親から相続した財産、親から贈与された財産、結婚前から所有している自分の預貯金などが特有財産にあたります。
ただし、親から相続した財産であっても、相続後に夫婦の協力で財産価値が維持された場合、または向上した場合には、維持・向上した部分について財産分与の対象になることもあります。たとえば、自分が親から相続した家を夫婦の協力のもとでリフォームした場合には、リフォームで価値が維持された部分、価値が向上した部分について財産分与の対象になることがあります。
離婚後の子どもの相続権
離婚後、夫婦は他人同士に戻るため、元パートナー(元夫)が亡くなったとしても、自分には元パートナーの財産を相続することはできません。ただし、子どもの親権がどちらにあったとしても、子どもにとっての母親は自分であり、父親は元パートナーである点に変更はないことから、子どもは元パートナーの財産を相続する権利があります。
以下、離婚後における元パートナーから子どもへの相続について、主な3つのパターンを確認しましょう。
元パートナーが再婚している場合
離婚後、元パートナーが再婚している場合には、「元パートナーとの間の子ども」と「元パートナーの現在の配偶者」が相続人となります。元パートナーからの遺言がない限り、自分(元妻)は相続人になれません。
なお、この例の場合、「子ども」には「遺留分」を相続する権利がある点を理解しておく必要があります。
遺留分とは、相続財産のうち法律で認められた最低取り分のこと。仮に、元パートナーの現在の配偶者が財産の全額を相続しようとしたとしても、子どもから遺留分侵害請求を受けた場合、元パートナーの現在の配偶者は子どもに対し、法令で定められた金額を遺留分として引き渡さなければなりません。
元パートナーが再婚し、再婚相手との間に子どもがいる場合
離婚後、元パートナーが再婚し、かつ再婚相手との間に子どもがいる場合、「元パートナーとの間の子ども」、「元パートナーの現在の配偶者」、「元パートナーと再婚相手の子ども」が相続人となります。元パートナーからの遺言がない限り、自分(元妻)は相続人になれません。
この例の場合も、前述の遺留分の解釈が適用されます。
元夫婦の子どもが先に亡くなった場合
離婚後、元パートナーとの間の子どもが両親より先に亡くなった場合、子どもの子ども、つまり孫が「代襲相続人」として元パートナーの財産を相続できます。孫も亡くなっている場合には、ひ孫が代襲相続人となります。
代襲相続人についても、前述の遺留分の解釈が適用されます。
不動産あんしん相談室
神田 加奈氏
離婚と相続のトラブルに発展しそうな場合は
弁護士に相談を
離婚における自宅の財産分与について、基本的には自宅を売却して現金を折半する方法がスタンダード。一方、自分(妻)が家に住み続けたい場合には、家を売却せず自分で代償金を元パートナーに支払う形で財産分与を行います。
ただし、分与の対象となる財産に親からの相続分が含まれている場合には、原則として財産分与の対象にならないことに要注意。また、離婚して財産分与も済ませた元パートナーの遺産については、子どもにも相続権が生じることを理解しておきましょう。元パートナーが子どもに対して相続させたくない特別な事情がある場合には、相続廃除等の手続きが必要になります。
離婚と相続をめぐっては、相続人が多ければ多いほど事が複雑化します。トラブルに発展しそうな場合には、早めに弁護士へ相談すると良いでしょう。
一般社団法人不動産あんしん相談室は、離婚と相続のトラブルに詳しい弁護士とのネットワークを構築しています。同様のトラブルにお悩みの方は、ぜひ気軽に相談してみてください。
離婚と相続に関連する基本を理解しておきましょう
婚姻期間中、親から相続したものは特有財産とされ、原則として財産分与の対象にはなりません。また、たとえ夫婦が離婚したとしても、子どもは夫婦どちらからも相続を受ける権利を有します。遺留分の知識も含め、離婚と相続に関連する基本を理解しておきましょう。