別居中における共有不動産の売却について

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離婚時にはさまざまな内容について協議をすることになりますが、内容によっては揉めたりうまくまとまらないこともあるでしょう。このページでは「別居中における共有不動産の売却」について解説します。押さえておくべきポイントや不動産を売却するための方法についても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

別居中でも共有不動産は売却できる?

不動産の売却は所有者の意思で決定できますが、共有不動産の場合は一人の判断だけで進めることはできません。民法251条により、共有不動産全体を売却するには共有者全員の同意が必要です。ただし、自分の持分のみを売却する場合は、単独で手続きを進めることが可能です。しかし、別居中の夫と連絡が取れない、または同意を得るのが難しいケースも多いため、この違いを理解しておくことが重要です。

参照元:e-Gov法令検索「民法 第二百五十一条」(https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089

売却は名義・配偶者からの同意がポイント

もっとも重要なポイントは不動産の所有権がどうなっているかであり、その状況によって売却までに必要な手続き・プロセスが大きく変わってきます。次に売却が可能なパターンにはどのようなものがあるかを順に紹介しますので、それぞれチェックしておいて下さい。

単独名義

単独名義とは、その名の通り、夫婦のどちらか一方が不動産の所有者になっている状態を指します。所有者が誰なのかは、法務局で取得できる「登記簿謄本」を確認することで確かめられます。インターネットでも取得可能なので、まずは自身の不動産の名義をしっかり確認しておきましょう。

また、登記簿謄本をチェックする際にもう一つ注意すべき点があります。それは「担保の有無」です。住宅ローンを利用して購入した不動産には、通常「抵当権」が設定されています。抵当権がついている場合、不動産を売却するには、売却代金をもって住宅ローンを完済する必要があります。ローンの残債が売却価格を上回ると、売却が難しくなることもあるため、事前にローン残高も確認しておくことが重要です。

共有者全員の同意を取得

共有不動産を売却するには、民法251条にある通り「各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができない」と規定されているため、共有者全員の同意が必要です。ただし、逆に言えば、全員の同意を得ることができれば売却は可能になります。

しかし、口頭で同意を得た場合、後になって「言った・言わない」のトラブルに発展するリスクがあります。これを避けるためにも、公正証書による同意書を作成する、不動産仲介業者を通じて正式な手続きを行うなど、第三者の関与を活用し、確実に同意を証明できるようにしておくことが重要です。

参照元:e-Gov法令検索「民法 第二百五十一条」(https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089

共有持分のみの売却

不動産全体を売却するには共有者全員の同意が必要ですが、自分の持分のみなら、自由に売却することが可能です。ただし、購入者が取得できるのは売却した持分に限られるため、その点を理解しておくことが重要です。

特に、共有持分の購入者には「共有物全体を持ち分に応じて使用できる権利」がある一方で、「持ち分に応じた管理費や維持費を負担する義務」も発生します。また、共有不動産における「使用収益権」など、法的リスクについても十分な検討が必要です。

共有持分のみの売却を検討する場合、一般の買主を見つけるのは難しいケースが多いため、専門の買取業者を活用することも選択肢の一つとして考えましょう。

別居中に共有不動産を売却する方法は?

別居中に共有不動産を売却するには、まず名義人や配偶者の同意を得ることが前提となります。しかし、同意が得られない場合は不動産全体の売却が難しくなるため、別の方法を検討する必要があります。

ここでは、別居中に共有不動産を売却する方法について解説します。単独名義のケースや、配偶者から同意を得られているケースではスムーズな売却が可能ですが、共有名義で相手の同意を得ることが難しい場合には、共有持分の売却など別の選択肢を考えることが重要です。

離婚に向けた話し合いを進める中で不動産の売却を検討している方や、共有名義の不動産の処分に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

仲介や買取で共有不動産全体を売却する方法

単独名義の不動産や、他の共有者(配偶者など)から同意を得られている場合は、共有不動産全体を売却することが可能です。その場合、通常の不動産売却と同様に「仲介」または「買取」の方法を検討するのが一般的です。

仲介は、不動産会社が売主と買主の間に入り、売却をサポートする取引形態です。仲介業者が買い主を探し、売却の手続きを進めてくれるため、高値での売却が期待できます。ただし、売却完了までに時間がかかることがある点には注意が必要です。

買取は、不動産会社が直接物件を買い取る方法です。仲介よりも売却価格は低くなる傾向がありますが、短期間で現金化できるのが大きなメリットです。売却を急いでいる場合や、買い手を探す時間がない場合に適しています。

一般的に「できるだけ高く売りたいなら仲介」「早く売却したいなら買取」が基本の考え方ですが、それぞれのメリット・デメリットを理解した上で、自分に合った方法を選びましょう。

配偶者に共有持分を買い取ってもらう方法

共有名義の不動産を売却したいものの、配偶者から同意を得られない場合は、共有持分のみを売却する方法もあります。ただし、共有持分のみの売却は買い手が見つかりにくいため、可能であれば不動産全体の売却を目指して協議するのが望ましいでしょう。

もし共有不動産全体の売却が難しい場合、配偶者に自分の持分を買い取ってもらう方法もあります。配偶者にとっては、持分を買い取ることで不動産を単独所有にでき、将来的な売却や賃貸運用が自由にできるメリットがあります。

共有不動産をそのまま所有し続けることに大きなメリットはないため、配偶者にとっても持分の買取は合理的な選択肢となる可能性があります。売却交渉の際には、買取のメリットをしっかり伝え、円満な解決を目指しましょう。

分からないことは専門家に相談を

離婚や別居などの話し合いをする必要がある場面は相当なストレスがかかりますが、協議しなければならない内容や取り決めが多くあります。住んでいた住宅などの不動産をどうするかも取り決めなければならない重要事項の一つですが、話し合いの結果取り扱いがまとまらないことも少なくないでしょう。配偶者に買い取りを断られてしまった場合など、うまく話がまとまらない場合には専門業者への相談を検討しましょう。中には共有持ち分を専門としている業者も存在します。

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